HOME > 幻冬舎ルネッサンスが目指すところ【2006年12月22日】

幻冬舎ルネッサンスが目指すところ

2006年12月22日

1993年11月、幻冬舎は四谷の裏通りに面する雑居ビルの4階から出発しました。旧態依然とした出版界に小さな風穴を開けたい、その一念で会社を設立したのです。

翌年春に6冊の単行本を刊行し、出版社として第一歩を踏み出しました。その3年後には62点という規模で幻冬舎文庫を立ち上げ、また昨年は男性総合誌「ゲーテ」を創刊、雑誌分野にも進出することができました。創立当初の目標だった、単行本、文庫、雑誌の三本柱がようやく揃ったのです。この間に幸運にも10点のミリオンセラーを輩出するなど、誰もが予想しえなかった嬉しい誤算もありました。

しかし出版界全体を見渡すと、この10年の売り上げは減少し続けています。小説が売れない、コミックスの勢いが落ちている、雑誌の休刊が相次いでいる……。暗い話ばかりです。本を読む人が減っているということなのでしょうか?インターネットや携帯電話の普及で活字離れが進んでいるというような声を、出版界内部からもよく耳にします。しかしこれは本が売れないことの言い訳でしかありません。良い本は人を引き付けます。力のある本はベストセラーになっていきます。良質な作品と新しい表現を待ち望んでいる読者はいつの時代にも必ずいるはずです。

とはいえ実情は新しい書き手の門戸を確実に狭めています。現に幻冬舎でも、一時は毎日のように一般の方から原稿が持ち込まれていましたが、 今はすべてお断りしています。それには理由があります。書き手が全力で書き上げた作品をきちんと評価する余力がないのです。書き手と編集者は同等の力で作品に向かうべきです。しかし編集者たちは日々の仕事に追われ、持ち込まれた原稿と取り組む余裕と時間がありません。それではあまりにも書き手の方に失礼です。しかも一度原稿をお預かりしてしまうと、それだけで著者と編集者という関係が成立します。お返しする時必ず感想や、出版出来ない場合にはその理由を添えなければいけません。素晴らしい作品と出会えるチャンスを減らすというリスクは背負うものの、それならばいっそすべての持ち込み原稿をお断りしようという結論に逹しました。

このような経緯の中で2005年に誕生したのが自費出版の会社、この幻冬舎ルネッサンスです。どうしても自分の作品を世に出したいという方に対して、適正な費用をいただき、本づくりの段階から全国の書店に流通させるまでを完全にバックアップし、サポートするというシステムです。

しかし残念ながら自費出版のイメージはあまりよくありません。本のつくりや流通の問題、また金銭トラブルがあまりにも多過ぎるという全国の書店さんからの話をよく耳にします。その理由を探ってみるとある事実に行き当たりました。それはあまりにも出版点数が多過ぎるということです。言い換えれば安易に本をつくり過ぎているのではないでしょうか。

私たちは心血を注いで書かれた原稿を、誠実な姿勢で自信を持って本の形にし、世に送り出したいのです。だから私たちが提示させていただく価格は他社と比べて少し高いかもしれません。この価格を下げるのはそれほど難しいことではありません。方法はいろいろあります。お預かりした原稿をベルトコンベアのように右から左へ流れ作業で本にしてしまう、つまり煩雑な作業を省きシステマティックにしていけば価格は下がるし、出版点数は増えるでしょう。しかし果たしてそれでよいのでしょうか。百冊の本があれば百通りのつくり方があるというのが、私たちが経験から学んできたことです。煩雑な作業こそ本づくりには欠かせない重要なプロセスなのです。だからこそ本一冊一冊にはそれぞれに生命が宿っています。私たちはそれを最も大切なものとしていきたいと考えています。

みなさまにとってそれは体の一部、分身のような貴重な存在になることは間違いないでしょう。もしかすると一生にたった一冊の本かもしれません。だからこそ「作品」として書店の店頭に自信を持って並べることができるという確信が得られるまで、私たちは責任を持ちます。何年経っても色褪せない本をつくり、これまでの自費出版のイメージを変えたい。幻冬舎ルネッサンスはプライドを持って本づくりをしていきます。

私たちは今まで見たことがない、新しい表現の世界と出会える感動を待っています。

幻冬舎ルネッサンス代表取締役社長 小玉圭太

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