和歌山県・熊野古道。世界遺産にも登録された山里での暮らしには、人間が失ってはならないものがたくさんあった。昭和初期の熊野は、不自由で不便で不足していたけれども、豊かな自然とそこに暮らす人間との濃密な関係も存在していた。そしてそれは現代社会においてほとんど消滅してしまっている。また、厳しいけれども自然の中で生きることは、便利で充足している現在よりもずっと幸せであったと、少年の日々の懐かしい思い出をシニカルな視点とユーモアで綴ったエッセイ。山里の温かい人情、大いなる存在への畏怖の気持ち、移りゆく四季に合わせた生活などは、現代日本人なら誰でも不思議と郷愁を覚える。民家や狩猟道具などの興味深いイラスト付き。
■著者紹介
1936年和歌山県に生まれる。1959年大阪大学薬学部卒業。1963年神戸医科大学卒業。1964年米国空軍病院(立川)インターン終了。以後、約45年産婦人科医療に携わる。モットーは「女性の生涯を見渡しての医療」。著書、『まぼろしの渓』(朔風社)、『丈夫な赤ちゃんを産むために』(創元社)、『胎児たちのサバイバル』(神戸新聞総合出版センター)ほか多数。
■トピックス
「読売新聞」(2010年1月11日)で連合広告が掲載されました。

